郵便転送調査

郵便転送

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郵便リストとは

「郵便リスト」とは、郵便配達員が配達業務を行う際に使う住所リストで、「配達原簿」とも呼ばれているものです。
ある特定の住所宛に、新たな氏名や会社名宛の郵便物が届けば、配達員が郵便リストのデータベースへ情報を登録します。
その住所に住んでいた人が郵便局へ転居届を出せば、郵便リストへ転居先の情報とともに登録されます。また、過去の入居者の郵便物が届いた際に現入居者がその入居者は転居済みである事を郵便局へ伝えれば、郵便リストの情報も更新されます。

このように郵便リストは、住民票とは別に郵便局が独自で管理している住民リストといえます。

郵便リストの情報

郵便リストには、日本国内の全て戸建てや集合住宅のほか、会社、商業ビルにおいて、すべての居住者や法人リストの情報が登録されています。

転居が生じた際は、居住者全員の転居なのか一部の転居なのかについても調査し、転居した人のみ情報を更新します。
たとえ住民票の移動をしておらず住民票上では同一世帯ないにいない人でも、郵便物を受け取ることで、同居人の存在が郵便リストに載ることになります。

郵便リストと住民票

住民票は、引っ越しをする際に届出義務があります。
引っ越しをする場合、それまで住んでいた住所の市区町村役場に転出届を出し、引っ越ししてから14日以内に引っ越し先の市区町村役場へ転入届を提出する義務があります。
ただし、転居先での生活が1年未満の一時的な移住であったり、家族が元の住所に残ったりする場合については、住民票を移さなくてもよいことになっています。

いっぽうで、郵便リストは住民票とは異なり、届け出の義務はありません。ですから、その住所からは転居して不在になっていても、郵便物はそのまま届くというケースは多々あります。家族が残っていれば、そのまま受け取るでしょう。
しかし、新たな入居者が受け取らない場合は、その場には住んでいないということが登録されます。

このように、郵便リストは決して完璧な情報ではなく、転居に際して住民票の移動がされていれば、その方が正確だと言えるでしょう。

しかし、何らかの事情で住民票を敢えて移さない人もいます。
そのような場合は、実際にその人物宛ての郵便物を居住者が受け取っているかどうかによって更新される郵便リストの方が、実態を調査する上で役立つリストとなるケースもあるでしょう。

現住所の調査と郵便リストの開示

このように、郵便リストは居住者の情報として住民票に次ぐ存在となっており、住民票と現住所とに祖語がある場合でも、データベースの検索機能を使えば、その人物がどの住所で郵便物を受け取っているのかなどの情報の調査が実務上可能となっています。

あえて住民票を移さない人のなかには、借金などの債務から逃れるためという理由のほか、ストーカーから逃れたい、DV被害から逃れたいという人も少なくありません。
加害者から逃れるために転居先を知られたくない、という被害者の情報を加害者へ伝えることはできないという理由もあり、弁護士による弁護士照会も含めて、郵便リストの情報を第三者へ開示することは行っていません。

郵便追跡サービスとは

郵便追跡サービスとは、書留郵便物やレターパックなどの配達を郵便局へ依頼した際に受けられるサービスで、依頼した郵便物や荷物がどこにあるのか、ホームページ上でリアルタイムに確認できるサービスです。

郵便追跡サービスは、本来、郵便物や荷物の紛失状況について調査するためのものですが、郵便物や荷物が宛先に届けられたのか、それとも途中で郵便転送されたのかについても、調査することができます。

郵便追跡サービスにて、途中で「転送」と表示されるケースは、引っ越しをして転居届が出されているなど郵便リストの更新がされている場合が考えられます。一般的に、発送して間もなく郵便転送がされたのであれば、郵便リストの情報によって郵便転送されたと考えてよいでしょう。

また、そのほか、受取人からの連絡で、宛先に記載した住所以外での受け取りを指定するケースもあります。これは、配達員の配達時間に自宅で受け取れず、不在表などを受けて職場などへ郵便転送を依頼するパターンなどが考えられるでしょう。

郵便転送先についての詳しい情報までは、残念ながらホームページ上には記載されません。しかし、郵便転送先の管轄郵便局を確認することで、おおよそのエリアまでは特定できます。

つまり、郵便追跡サービスを利用することで、住民票の転居届がされていない場合でも、おおよその現住所を特定できる可能性があるといえます。

特別送達とは

裁判所から被告へ訴状などを送る際、法律によって郵便局を使用することが決められており、この裁判所から訴状などを送ることを「特別送達」と呼びます。

訴訟を起こす際、一般的に担当弁護士が被告の住民票を取得します。原告代理人はその情報を以て裁判所へ訴状が提出し、裁判所が郵便局に特別送達を依頼します。

郵便局員によって法的文書を被告へ送達した際、被告が訴状を受け取れば、訴訟は滞ることなく進行していきます。
もし、訴訟の宛先に記載されている住民票住所が有効でない場合でも、郵便リストの情報が更新されていれば、郵便局員は郵便転送をして特別送達を完了させます。
被告が雲隠れしており、郵便リストの情報も更新されていなかったりする場合は、特別送達を完了させることができず、訴訟が進まないという状況が生じます。

また、被告が訴訟を逃れたいために居留守を使ったり受け取りを拒否したりすることもあります。被告が受け取り拒否をした場合は、郵便局員は原則それを受け入れ、特別送達は完了不可となります。

郵便リストによって郵便転送された先で受け取り拒否があった場合においても、郵便局が被告の転居先情報を裁判所へ開示することはありません。

自宅への特別送達が成功しない場合、裁判所は、就業先への送達を試みます。
就業先への特別送達も成功しない場合、裁判所は「付郵便送達」や「公示送達」の特別措置の手続きについて許可をします。

「付郵便送達」とは、被告が受け取りを拒否するなど、実際に受け取っていない場合においても、裁判所から発送した時点で送達がされたこととみなされるものです。
また、「公示送達」とは、被告の居場所はわからない場合でも、送達文書を官報や裁判所への掲示を経て、法的に送達したとみなされるものです。

現住所の調査が必要となる場面

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訴状を起こす際は、被告の現住所と住民票の情報に相違がある場合においても、郵便リストが更新されていれば、「特別送達」などで訴状を送ることで、訴訟を進めることができます。

しかしながら、訴訟によって勝訴判決を得たあとに強制執行をしようした際、現住所を把握していないと動産の差し押さえなどを実行することができません。
また、現住所が不明な状況では、勤務先などの情報を取得するのも困難となります。

養育費の支払い滞納や、賃貸住宅の家賃の支払い滞納など、債務を抱えたまま行方をくらませてしまう人は後を絶ちません。被害者にとっては、訴訟を起こしても強制執行ができなければ、被害状況を解決させることができず、結局泣き寝入りせざるを得ない状況を強いられてしまいます。

そのため、民事訴訟における強制執行の場面において、郵便リストの開示が強く求められています。

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